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2022.06.14 (Tue)

「長栄座伝承会 むすひ」プログラム紹介♪vol.1

芝居小屋「長栄座」夏のフェスティバル2022のメイン公演「長栄座伝承会 むすひ」では、ジャンルを超えた珠玉の芸たちが”むすひ”をテーマに、一年に一度、蜃気楼の如く現れては立ち消える芝居小屋「長栄座」に集結します。

そのプログラムはどれを取っても見どころ満載
そこで、これから少しずつそれらの演目をご紹介していこうと思います

1回目の今日ご案内するのは、「舞楽への誘い」と、舞楽「蘭陵王」。
「むすひ」公演の幕開け(7/30、1部)を飾ります。


ここで、演目紹介に入る前に、基礎知識をチェック

舞楽(ぶがく)
雅楽の一種で、大陸から伝来した舞とその伴奏音楽のこと。
演奏を指す「管弦」に対する言葉で、唐楽を伴奏とする「左舞(左方)」と、高麗楽(こまがく)を伴奏とする「右舞(右方)」があります。


今回舞楽を披露していただくのは、天王寺楽所(てんのうじがくそ) 雅亮会(がりょうかい)

天王寺楽所(てんのうじがくそ)」とは、三方楽所のひとつで、京都の宮廷に置かれた「大内楽所(おおうちがくそ)」、奈良・大社寺の「南都楽所(なんとがくそ)」とともに平安時代以来日本の雅楽の伝承を担ってきました。
中でも天王寺楽所は特に舞楽の舞態が特徴的で、“野外での演奏”や“参詣者の仏縁を深めること”を目的としていたため、ダイナミックかつ明確な舞いぶりが受け継がれています。


「舞楽への誘い」は、天王寺楽所 雅亮会の副理事長 小野真龍さんによる舞楽のレクチャーコーナー。
「蘭陵王」をご覧いただく前に、雅楽とはどういったものかや、「蘭陵王」の鑑賞ポイントなどを分かりやすく解説していただきます。


続いてお贈りするのは、舞楽「蘭陵王」。

この演目は、舞楽の中でも舞台上を活発に動き回り、その多くが伝説に由来する「走舞」のひとつ。

中国・北斉(ほくせい)(550~577年)の蘭陵王長恭らんりょうおうちょうきょうは、優れた武才をもつ名将でしたが、部下が見惚れるほどの大変な美男子であったため、味方の兵士たちの士気を高めるよう、また敵に侮られないよう、獰猛どうもうな仮面をつけて指揮をとったところ、次々と勝利したと伝えられています。それを由来として作られたのがこの「蘭陵王」です。

この曲は走舞の代表的な演目で、龍頭を模した舞楽面を着け、右手には金色の(ばち)、左手には剣印けんいん、という形で舞う姿は、武将が馬上で指揮を執る様子を表しています。

「蘭陵王」は学校の音楽の教科書にもよく採り上げられるほど舞楽で最も有名な演目で、厳島神社(宮島)でも頻繁に上演されています。

宮島観光協会のWEBサイトでは動画で紹介されています




才知武勇に秀でた実在の武将を表現しているこの舞は、美貌を隠す恐ろしげな面や戦士を鼓舞する(ばち)、細かで美しい刺繍が施された紅の裲襠(りょうとう)(かつて儀式の際に武官が礼服の上に着用した貫頭衣型の装束)といった、華やかさと威厳をあわせもつ装束・舞具も見どころのひとつ

蘭陵王
「蘭陵王」(天王寺楽所 雅亮会)


ぜひ、芝居小屋「長栄座」の舞台でお楽しみください


<出典>
岡部博司編「邦楽百科事典~雅楽から民謡まで~(第9刷)」,株式会社音楽之友社,2004年,P247,1048
独立行政法人日本芸術文化振興会「文化デジタルライブラリー」https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc22/sakuhin/bugaku/s11.html(最終アクセス:2022年6月14日)
天王寺楽所雅亮会「天王寺楽所 雅亮会」https://tennojigakuso.org/iwakikai.html(最終アクセス:2022年6月14日)
一般社団法人 宮島観光協会「一般社団法人 宮島観光協会」https://www.miyajima.or.jp/culture/culture_bugaku.html(最終アクセス:2022年6月14日)
東京藝術大学音楽学部小泉文夫記念資料室「アジアの楽器図鑑」https://www.geidai.ac.jp/labs/koizumi/asia/jp/japan/knw07/002209_shozoku.html(最終アクセス:2022年6月14日)
風俗博物館「日本服飾史」https://costume.iz2.or.jp/costume/506.html(最終アクセス:2022年6月14日)






長栄座夏のフェスティバルロゴ

長栄座伝承会(ちょうえいざでんしょうえ) むすひ~東西を結び、(とき)を結び、乾坤(あめつち)を結ぶ~

2022年7月30日(土)、31日(日) 両日とも14時開演(13時30分開場)
会場:滋賀県立文化産業交流会館 イベントホール内特設舞台「長栄座」
料金:一般 3,500円/青少年(25歳未満) 2,000円
オンラインでチケット購入

第1部 <邦楽アラカルト>湖国神在祭(ここくのかみありさい) ~むすひの芸能撰~
<7月30日(土)>
①舞楽への(いざな)
小野真龍(天王寺楽所雅亮会副理事長・関西大学客員教授)

②舞楽「蘭陵王」
天王寺楽所雅亮会
舞人:小野真龍
打物:寺西覚水 巖水法光 多治見眞篤
鳳笙:林絹代 塩田隆志
篳篥:前川隆哲 髙木了慧
龍笛:中原詳人 勘田紅美
装束方:吉光信昭

③和楽器コラボ 尺八×Dance 長管尺八による舞曲「魂振(たまふり)
尺八:川崎貴久 Dance:OBA

<7月31日(日)>
①平家琵琶「竹生島詣」
菊央雄司

②長唄への誘い
唄:杵屋利光 三味線:杵屋勝九郎

③和楽器コラボ 箏・十七絃×チェロ×打楽器 箏とチェロによる二題
萌永(もえ germinatio-八千代獅子賛歌」(中村典子作曲)
水滸唱歌(みずのほとりのうた)」(星谷丈生作曲)
箏:麻植美弥子 麻植理恵子
チェロ:ルドヴィート・カンタ
打楽器:山内利一

第2部 駅名連歌 まいばらはつ~東海道線各駅停車名古屋ゆき~
作詞:くろこと 作曲:野村祐子
〈箏・十七絃・三弦〉
野村祐子
滋賀県邦楽専門集団「しゅはり」
「邦楽専門実演家養成事業」修了生
〈尺八〉川崎貴久
〈民謡〉成世昌平
〈合唱〉彦根児童合唱団

第3部 響鳴(きょうめい)~日本三大弁財天と宇賀神将(うがしんしょう)十五王子~安芸宮島 厳島弁財天と五王子
作詞:千野喜資 作曲:杵屋佐吉 切り絵:早川鉄兵
<三味線>杵屋佐吉 杵屋浅吉 今藤龍十郎
<唄>杵屋佐喜 杵屋正則 杵屋勝英治
<琵琶>田中奈央一
<囃子>福原百之助 福原鶴之助 望月左太助 福原遊馬 福原寛瑞

※第2部、第3部は両日とも、同内容・同一キャストで上演します。

0730むすひ表

0730むすひ裏

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